3 田老かりんとう
「かりんとう」といえば、多くの岩手県民がイメージする(であろう)、糖蜜がかかった白と茶色のぐるぐる。このうずまきかりんとうを作って90年以上、大震災も乗り越えた「田老かりんとう」の製造元、宮古市の「田中菓子舗」への訪問がかないました。
形は単純でも「とにかく手間がかかるお菓子で」と話すのは、店主の田中和七さん。生地は体温で変形するほど柔らかく、「トンネル」という木枠を被せ、1枚1枚切っていくのです。その厚さ、1ミリ半から2ミリ。米油で揚げるとクネクネふくらみ、黒糖入りの糖蜜が実にいい塩梅に絡みます。
かつては日持ち第一で分厚く堅かったそうですが、母の田中ソノさんが、子どもやお年寄りにも食べやすいサックリ食感に改良。「お前はそれで満足するな」が、ソノさんの口癖だったと和七さんは話します。このソノさんの職人魂と津波で唯一残った「トンネル」が、田老かりんとうの美味しさを支えています。
■田中菓子舗 製造工場 宮古市田老字八幡水神37‐1 電話0193(87)2020 ※工場での販売はありません ※食のほそみち 第3回 マ・シェリ962号(2015年02月27日)掲載
0コメント