36 一関のお餅

 この秋まで放送していたあるテレビドラマで、一関市出身という設定の登場人物が「一関の人間の体は餅でできてんだ」と、ずんだ餅を食べていました。そんなことあるかーい! と当時はテレビに向かってツッコミましたが、多少ドラマ的脚色はあったとしてもそれは真実ではないかと、一関に行くたびに思うのです。
 江戸時代の末には餅を食べる文化が根付いていたという一関地方。最高のおもてなしはあんこ餅にはじまりお雑煮でしめる「もち本膳」、そばではなく餅を食べ続ける「わんこもち大会」など、餅はお寿司やステーキよりも特別で、そばやご飯よりなじみ深い食べ物のようです。
 市内の飲食店では食べ比べができるところも多く、甘辛い海老をからめたえびもちやあんかけのしょうがもちなどはこの地域ならでは。味の違いと彩りも餅定食の楽しみで、ひとつまたひとつと食べてしまいます。間もなくお正月、一関の人ならずとも体内餅濃度が上がりそうです。
※食のほそみち 第36回 マ・シェリ1064号(2017年12月28日)掲載

食のほそみち

2014年からマ・シェリに連載中

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