43 ざる中華
日本列島酷暑の夏。冷やし中華にざるそばに、つくるのも食べるのも冷たい麺ばかりでバリエーションがありません。他に何かなかったかしら…で、思い出した我が家の定番。冷水で締めた中華麺をめんつゆでいただく「ざる中華」です。
要はおそばを中華麺に変えただけ。しかしながらモチモチとした中華麺の喉ごしすこぶる良く、小麦の風味と甘さを引き立てるめんつゆの仕事ぶりもなかなかのもの。わさびと海苔、刻みネギをたっぷりかければ爽やかな辛みも楽しめます。
聞けばこのざる中華、東北地方でのみ食べられているレアな麺料理なのだとか。この簡単さ、そして飽きのこない美味しさは全国でも評判になりそうです。
「ただいまあ」。暑い夏、学校から帰るとそのころ食堂を開いていた母が厨房の隅っこでチャチャッと作って出してくれたのがざる中華でした。今、ゆで鍋の前でひとり大汗をかきながら、懐かしい思い出にも浸ってしまう平成最後の夏です。
※食のほそみち 第43回 マ・シェリ1088号(2018年08月24日)掲載
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