2 焼きプリン大福

 赤ちゃんの二の腕のお肉のような。

 花巻の「焼きプリン大福」を例えるなら、多分これしかないでしょう。しっとりしていてプニプニで、透き通るような色白のお肌。まずは両手にだいじに押しいただいて繊細なその柔らかさを堪能したら、おもむろにパクッ。はじけた大福の皮の下から甘さ控えめのクリームと、わお! 大ぶりのプリンが現れます。硬めに焼き上げたプリンは、卵の香りが濃厚な懐かしい味。大福を食べたはずなのに、あらあら口の中が一気にプリン・ア・ラ・モード、なのです。

 全国にファンのいる「焼きプリン大福」は12年前、産直「案山子」内のグループ「せきざくらの会」の加工場で生まれました。販売していた手作りプリンをもち粉の皮で包むアイデアは、「売れるわけがない」という周囲の予想を裏切って大ヒット。1日平均200パックを売る今なお、代表の照井正子さんと11人のお母さんたちの完全手作りです。「最初は売れなくて、でもがんばって作ってたのがヒットの秘訣かな」と照井さん。

 おやつの味も、作る人の思いも12年前と変わらない。それもきっと、末長く愛され続ける秘訣なんですね。

●問い合わせ/せきざくら株式会社(産直 案山子内)花巻市上似内6‐126‐1 電話0198(29)5804 ※いわてFOOD記 第2回 マ・シェリ934号(2014年05月30日)掲載

食のほそみち

2014年からマ・シェリに連載中

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