4 白せんべい
盛岡はせんべい好きが多い街。南部せんべいはお茶請けの定番ですし、つい最近は「うきせんべい」が復活、ファンを喜ばせていました。
しかし「白せんべい」を知っている人は、果たしてどれくらいいるでしょう? 材料はもち米100%。夜中の満月みたいに白々とした風貌で、薄くてサクサクと食感がいいのですが味付けの類いはされてません。小麦の風味がよく味のバリエーションも多い南部せんべいに比べあまりにも、あまりにも地味な存在なのです。
それでもこの白せんべい、盛岡のせんべい文化の一翼を担ってきたことは間違いありません。もち米のみだから離乳食や子どもにも安心して与えられたし、病人やお年寄りにも重宝されたー。「昔は各家庭で餅を作って型で焼いてたんじゃないかと思う」と話すのは、現在盛岡市内では唯一、白せんべいを作っている丸美屋菓子店さん。こちらでは昔ながらの焼き型で、今も1枚1枚手焼きしています。
そのまま食べても米の甘みがうまいのですが、子どもの頃やっていたのが「あぶり出し」。表面にしょうゆで絵を描いてストーブの上であぶるのです。炎の暖かさとせんべいの香ばしさ、今もはっきり覚えています。
●問い合わせ/丸美屋菓子店 (盛岡市中央通3‐5‐24)※工場のみ 電話019(623)4734 ※いわてFOOD記 第4回 マ・シェリ940号(2014年07月25日)掲載
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