8 一升漬

 冷麺だのキムチだのカレーだの、ある日突然食べたくなる辛い食べ物。東北人はしょっぱいもの好きとよくいわれますが、実は同じくらい辛いものが好きだと思うのです。そしてその食傾向、暑くなればなるほど加速するような気が。汗をかきながら食べるカレー…想像するだけでほら、食欲がよみがえってきませんか。
 汗臭いのは嫌、もっとスマートにというなら「一升漬」はいかがですか。岩手や青森でよく食べられている郷土食で、青とうがらしと麹としょうゆを同量ずつ混ぜて作ります。青とうがらしの爽やかな辛さにしょっぱいしょうゆと麹のまろみが加わって、ひとくち食べれば夏バテ気味の体に活が入る感じ。白飯、冷ややっこ、そうめん等々には最高の相棒です。
 手間は青とうがらしを刻むことぐらいで、あとは密閉容器に入れて麹がとろけてきたら食べ頃。熟成には半年はかかるため、青とうがらしが旬の今、来年のために仕込んでおくのがいいでしょう。我が家には2年モノがありまして、猛暑の今夏、活躍してくれそうで楽しみです。
※食のほそみち 第8回 マ・シェリ979号(2015年08月07日)掲載

食のほそみち

2014年からマ・シェリに連載中

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