12 磐井焼
あんこと乳製品の組み合わせがウマいと知ったのは高校時代、福田パンの「あんバター」を食べてから。それ以来「福田パンのあんバター」は自分にとってデフォルト的存在だったのですが、一関市で出会ってしまったのです…磐井焼に。
市内を流れる川の名を冠したそれは 、地元で30年以上に渡って愛されてきた大判焼。店主の佐々木盛悟さんが子どもの頃に食べておいしかった揚げ菓子をヒントに、あんこの中にバターを入れました。「どういう風に焼くか、バターの香りが立つような量も工夫した」という苦心の作、見た目に変わったところはありません。しかし薄い皮の下から飛び出してくるのは、まるで油脂で練り上げたような粒あん。焼く時にあんこの中に入れたバターの小片が熱で溶け、いわゆる「溶かしバター」状態になっているのです。
とろりと甘く濃密で、香りもまとった冬のおやつ。お店は9月15日から翌年4月までの冬期営業なので食べ忘れなく。
■磐井焼 一関市上大槻街4‐2 電話0191(23)1775 ※宮城県登米市中田町に支店あり ※食のほそみち 第12回 マ・シェリ990号(2015年11月27日)掲載
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