14 パァクのホットケーキ

 盛岡市桜山にある、昭和44年創業の喫茶店パァク。その壁に「ホットケーキ」のメニュー文字が貼られると、ああ冬が来たなぁと思います。角がしっかり立っていて、きつね色もじつにおいしそうな正統派。11月からの冬季限定で「食事を出すようになった頃からあるはず…」と店主の鈴木洋子さんも記憶をたぐるほどの昔から、冬の楽しみのひとつでした。
 楽しいのは食べるほうで「毎年はじめは、うまく焼けるまで時間がかかるの」と洋子さん。今ではほとんど見ない分厚い銅板は火加減も難しく、タネとにらめっこしながら焼き上げます。銅板の隅にはあんこを乗せて温めておき、お皿も湯せんして、ホットケーキを重ねたらバターを乗っけて爪楊枝をぶすり。バターが溶け落ちないこの工夫も、別添えがメープルシロップではなく蜂蜜なのもパァクらしくて、食べるたびうれしくなります。
 永遠のホットケーキ、ここにあり。さて今年の冬は何回食べられるでしょう。
■Park(パァク)盛岡市内丸4‐6 電話019(651)4584 ※食のほそみち 第14回 マ・シェリ996号(2016年01月29日)掲載

食のほそみち

2014年からマ・シェリに連載中

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