15 愛名亭茶欧の甘酒

 初詣は毎年、盛岡八幡宮へ行きます。雪も寒さも長蛇の列もなんのその、参拝後に愛名亭茶欧で熱い甘酒を、フウフウとすするのが何よりの楽しみなのです。
 甘酒には酒粕で作るものと米麹のものがありますが、盛岡かいわいは酒蔵が多いためか「どべっこ」、つまり酒粕甘酒がなじみの味。しかし茶欧の甘酒は米麹の方で、鉈屋町にある細重酒店の麹を主に使っています。さらりとした甘さと麹のつぶ感がおいしいのですが、「始めた頃は温度管理が難しくて大変だった」と笑う、店主の戸塚孝徳さんと節子さんご夫婦。今は鍋で温めるたび味が変わっていくそうで「色とろみが付いてとびきり甘くなる」とか。甘酒って不思議だなあ。
 さて本日の甘酒は、まだまだ若いさらさらタイプ。湯気と一緒に甘みが口に広がって、麹もピッチピチの弾力です。昭和55年の開店時から毎日作られてきた茶欧の甘酒、通ううちにはきっと、とびきり甘い一杯に巡りあえるでしょう。
■愛名亭茶欧 盛岡市八幡町13‐1 電話019(654)6249 ※食のほそみち 第15回 マ・シェリ999号(2016年02月26日)掲載

食のほそみち

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