24 ひゅうずいろいろ
沿岸地方の郷土菓子「ひゅうず」。真ん中がプクッとふくらんだ半月形で、かじると黒砂糖とクルミ、味噌を混ぜたあんがトロリと出てきます。小麦粉の生地はみっしり感があって、かなりのボリューム。それでも道の駅や産直で見かけると、つい手がのびる。そもそもが家庭の味ですから、どれひとつ同じ味がないのが楽しいんです。
味だけじゃありません。沿岸では「ひゅうず」だけど、「かますもち」や「みみこもち」等々、地域によって名前も変わる。盛岡など内陸では「かまやき」「かまもち」などとして売られていますが、こちらは米粉や餅で味噌あんを包んでいて素材から違う。粉食と米食の違いをも乗り越えて、あの白い半月形は岩手のお母さん達に連綿と受け継がれてきたのです。なんと素晴らしいことでしょう。
お餅タイプも美味ですが、自分、やはり素朴な小麦粉タイプの「ひゅうず」に軍配を上げてしまいます。ちょいと焼き目を付けるとね、またうまいのよ。
※食のほそみち 第24回 マ・シェリ1026号(2016年11月25日)掲載
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