25 橋本屋支店で鴨南蛮

 寒い寒い冬の盛岡。大通界隈でのお昼どき、温かいものが食べたくなったら橋本屋支店を目指します。のれんをくぐって引き戸を開けると、ぷうんとカツオだしのいい匂い。店内も昔ながらのそば屋のたたずまいで、何だかほっとします。
 生姜で食べるかきたまそば、具だくさんの鍋焼きうどん…。この時期ならではの定番が多くそろうなか、チョイスは「鴨南蛮」。脂がのった鴨肉と濃いめの汁、甘いネギの三位一体は冬のおそばの最強打者。食べればお腹の底からポカポカです。
 「そばは汁との相性が大事」と話すのは、三代目店主の吉田豊さんと江利さんご夫婦。色白おそばにはサバ節でとった甘めの汁を合わせ、硬くなりやすい鴨肉は煮る前にさっと炒めるひと手間を惜しみません。鴨とおそばを堪能したら、残した汁をそば湯で割れば、だしの香りがたつ吸い物に。これも冬の楽しみです。
 「大通にここがあってよかったと言われます」とうれしそうな吉田さん夫婦。私もですよ。
■橋本屋支店 盛岡市大通1‐7‐7 電話019(622)2795 ※食のほそみち 第25回 マ・シェリ1032号(2017年01月27日)掲載

食のほそみち

2014年からマ・シェリに連載中

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