27 気仙のゆべし
陸前高田市に行く時の楽しみのひとつは食べ歩き。熊谷の担々麺にやぶやのそば、こん直のラーメン等々お昼はいつも悩みますが、お土産なら気仙ゆべし。ゆべしは内陸にもありますが、気仙のゆべしは形も味も実に独特で、生地に「シナモン(ニッキ)」「コショウ」「クローブ(チョウジ)」が練り込まれています。
和菓子にスパイスの由来は定かではありませんが、昔から陸前高田では「ゆべしの薬味」として売られており、正月やお盆には手作りゆべしが食卓に並んだのだそう。家族や親類との楽しい思い出と、ゆべしの味が結びついているのです。
時代は変わりましたが今も市中の菓子店でゆべしは定番で、ゆべしの食べ比べができるカフェもあり。むっちり甘い生地をほおばると、ニッキの香りの奥からコショウの辛みがやってきて鼻に抜けていきます。緑茶もいいのですが、試してほしいのが紅茶。ゆべしのスパイスと紅茶の渋みが実に合うのです。お試しを!
※食のほそみち 第27回 マ・シェリ1038号(2017年03月24日)掲載
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