30 関口屋菓子舗の白はっか糖
じめじめの季節、せめて口の中ぐらいはスカッと爽やかにいきたいものです。こんな日に重宝するのが、盛岡の関口屋菓子舗の「白はっか糖」。砂糖のストレートな甘みのあとに来る、はっかのピリッとした風味。白くて硬い風貌も水面に張った氷のようで、実に涼しげです。
なにより小気味いいのはその口溶け。舌にのせてしばらくするとホロリと崩れ、はっかの刺激だけを残して跡形なく消えていきます。いくつか食べ比べてみましたが、ここまで滑らかなものは探せません。「はっかは北海道北見産のものだけ、煮詰めたら一晩炭火で乾燥させるんです」と、4代目女将の関口真由美さんは教えてくれますが、代々の職人が守ってきた「カン」や「こつ」こそが、あの口溶けを生むのだと思います。
先代が仲間と立ち上げた「盛岡駄菓子」。店頭で今時の子どもたちが「うまっ」と食べている姿に安堵する私でした。
■関口屋菓子舗 盛岡市神明町2‐3 電話019(622)4509 ※食のほそみち 第30回 マ・シェリ1047号(2017年07月07日)掲載
0コメント