39 福の雲呑麺

 宮古市に行く用事ができると心が弾みます。だって「福」の雲呑麺が食べられるから! 黄金色に澄み渡ったスープの中に漂うワンタンは、お箸でつまもうにもトゥルンプルンと逃げていくほど薄くて滑らか。その繊細さゆえ、こっそり「天使のワンタン」と呼び、讃えているのです。
 あっさり系が多い沿岸のラーメンの中でも福は極めつけで、最初こそ物足りなさも感じましたっけ。しかし店主の盛合敏明さんの作るスープは豚骨や煮干し、昆布に野菜の甘みも加わった滋味深い味。ここにあの、天使のワンタンが絡むのです。常連も多く、中には買い物帰りのおばあちゃんが一人で食べていたりする。そんな雰囲気も福の魅力です。
 7年前の震災では浸水被害を受けましたが「グチャグチャになった厨房の中で寸胴とゆで鍋だけが無傷で残ってた。店を続けろってことだと思ったね」と盛合さん。これからもずっと、通いますよ。
■ワンタン・中華そばの店 福 宮古市保久田2‐17 電話090‐3129‐3516 ※食のほそみち 第39回 マ・シェリ1075号(2018年04月13日)掲載

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