54 岩手の納豆
熱々の白ご飯に納豆をのせ、口いっぱいにほおばったところに味噌汁をすする。口中で渾然一体化する納豆の甘みと味噌汁の塩っ気が大好きで、お行儀も気にせずかきこんでしまいます。そういう人は多いのでしょう、昨年の家計調査で盛岡市が納豆の購入金額全国1位に。納豆王国水戸をさしおいて、あっぱれです。
大豆あるところに納豆あり。盛岡に限らず県内北から南から、その地域で愛される納豆製造店ががんばっています。パッケージにも風格漂う花巻納豆や、復刻がうれしい盛岡納豆をはじめ、産直をのぞけば自家製の納豆に出会うことも。先日手に入れたのは昔懐かしい三角の経木に包まれた大粒タイプで、手づくり納豆とはかくやあらんの味わい。そもそも納豆は各家庭で手づくりするものだったんですよね。
臼納豆、搗き納豆に雪納豆…。郷土食の本には、いろいろな納豆が出てきます。心惹かれるのはあまり発酵の進んでいない納豆に塩をして天日干しにする干し納豆で、ご飯のふりかけやお酒のおつまみに最適とか。いつか作ってみたい一品です。
※食のほそみち 第54回 マ・シェリ1121号(2019年07月12日)掲載
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