55 農家食堂つきやのごはん

 「畑さえあれば何か食べるものが作れる。こうしてお店をやっているのも、作物を育てたり加工して食べるという昔からの知恵や技術を途絶えさせたくないからなのよ」
 そう教えてくれたのは、野田村で「農家食堂つきや」を営む小野寺信子さん。自ら育てたお米で朝一番に餅をつき、とれたて野菜はお昼のおまかせ御膳に大変身。味噌や豆腐も自家製で、郷土料理のうきうき団子やけいらんもお手のもの。テーブルにずらりと並んだお皿を見ているだけで、ワクワクしてきます。
 農家料理とはいえ、吸い物仕立てにしたサケやワカメたっぷりの味噌汁など、海のまちらしいお料理も登場。味のかなめとなる特産「のだ塩」も、野田村の海のめぐみのひとつと言えるでしょう。きわめつきが、自家生産のお米をのだ塩だけで握る「塩おにぎり」。これほどうまい握りめしを、私は他に知りません。
 地域で採れるものを地域に伝わる方法で食べる。それって一番のぜいたくかもと、「つきや」のごはんを食べながら思いました。
■農家食堂つきや 野田村大字野田22‐39‐1 電話0194(78)2235 ※塩おにぎりは野田村内の産直等で販売 ※食のほそみち 第55回 マ・シェリ1125号(2019年08月30日)掲載

食のほそみち

2014年からマ・シェリに連載中

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